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「人気」や「実力」の他に注目すべきは「枠順」!! [競馬予想手引書]



無条件に強さを誇る絶対王者無敵の存在…。
全盛期の白鵬や、V9時代の巨人…どんな競技でもこうした存在はスカッとしますし、競馬でもディープインパクトのようなほぼ無敵の馬がいて、それを全力で信じることができれば、人生を賭けた男の一点勝負ができそうな気がします。

ですが、そうした思考に陥っていては競馬で儲けるなど夢のまた夢です。
現代競馬で絶対に頭に入れておくべきこと。
それは「枠順」です。


1.「枠順」の重要性とは!


時代やコースによる傾向の変化はありますが、競馬がトラック競技であることに変わりはなく、結果として枠順の有利・不利は常に存在します。
現在でも代表的な内枠有利といわれる京都芝1200m。
枠順別成績では、内枠が断然有利で、5枠までの複勝率が20%以上なのに対して、外枠の6~8枠は10%台と明確な差が生じています。
ラッキーゲート作戦が効果を発揮したかつての中山競馬場ほどではありませんが、もしデータどおりなら、2枠の馬を買い続けるだけで儲かるということになります。

2016年1月、京都芝1200mでシルクロードSが行われました。
上記の通り内枠が有利なコースですが、圧倒的な人気を集めたビッグアーサーは、なんと16頭立ての8枠16番というかなり不利な枠順を引かされました。
上記の枠順傾向を知っていれば、本命にするのはためらわれるはずですが、単勝オッズは2.1倍という圧倒的なものでした。

レースでは案の定、外枠の距離ロスに苦しみ、結果は5着。
勝ったのは最内枠のダンスディレクターでした。
2着、3着にも有利な枠順といえる4枠の2頭が入り、3連単は16万円超の波乱となりました。
もちろん競馬に絶対はなく、展開次第ではビッグアーサーが枠順の不利をものともせずに勝っていた可能性もあります。
仮にそうだとしても、わざわざ内枠有利のコースで大外枠に入った人気馬を買うという行為は、ハイリスク・ローリターンな賭けと言わざるをえません。

ちなみに、このレースで敗れたビッグアーサーは、次走の高松宮記念でアッサリ巻き返しGⅠを勝利しました。
シルクロードSでの敗戦が力負けではなく、枠順の影響だったことが奇しくも証明されたことになります。

「枠順で勝負が左右されるなんて、一生懸命走っている馬がかわいそうだ!」
中には、そう考える情に厚い人もいるかもしれませんが、「実力は十分に把握したうえで、不利な枠は割り引いて予想する」のが大人の競馬脳というものではないでしょうか。
シンプルではありますが、有利な枠の馬を買い、不利な枠の馬は疑ったうえで次走での巻き返しを狙う、これは今も昔も変わらぬ競馬の基本です。


2.競馬場の特徴を知ろう!


京都芝1200mほど極端ではないですが、中央競馬が行われる10場のコースにはそれぞれ特徴があります。
その枠順の傾向を知っておくだけでも、大きなアドバンテージになることは間違いありません。


たとえば、内枠有利になりやすい主なコースとしては中山芝1800m、東京芝1400m、阪神芝1400mあたり。
逆にダートは外枠が有利になるコースも多く、東京ダート1600mは内枠不利で有名です。
これらのコースはレース数も多いので、迷ったら枠順を見て決断する作戦も有効でしょう。


象徴的な内枠有利のレースが、“競馬の祭典”といわれる日本ダービーです。
世代最強馬を決める最高の舞台ですら、枠順が結果を大きく左右しているのが現実なのです。

近年を振り返ってみても、2016年の覇者・マカヒキは2枠3番でした。
さらに2008~2010年は3年連続で最内枠となる1枠1番の馬が勝利するなど、圧倒的に内枠が有利になっています。
18頭立てのレースでこれだけハッキリした傾向が出るということは、実はダービーの勝敗は、実力よりも枠順の抽選機が支配しているといっても大袈裟ではないのかもしれません。


3.内枠と外枠のメリット・デメリット!


ここで、大まかに内枠と外枠のメリットとデメリットをまとめると以下のようになります。

【内枠のメリッ卜】
・内の最短距離を走れるためスタミナを温存しやすい。
・先行しやすい。
・ラチ沿いを頼れるため走りやすい。

【内枠のデメリット】
・馬群が密集しやすく渋滞する可能性が高い。
・馬場が悪化するとインコースは荒れて走りづらくなる。
・他の馬を気にするなど気性難の馬にとっては走りづらい。
・奇数番はゲー卜に先入れされるため待たされる。

【外枠のメリッ卜】
・渋滞しにくく自分のリズムで走りやすい。
・インコースの馬場が荒れていた場合、馬場のいいところを選んで走れる。
・ゲー卜に入る順番が後になるため待たされない。

【外枠のデメリット】
・外を回らされる可能性が高く距離ロスが生じやすい。
・スタミナを消耗しやすい。
・先行しにくい。
・行きたがる馬は馬群に入れず制御しづらい。
 
 
こうして並べてみると内と外がイーブンのように見えますが、馬場を整備する技術が発達し、芝が丈夫になったことでインコースが荒れづらくなっています。
その結果「距離ロスの有無」が有利・不利に直結するのです。

時代の流れを見ると東日本大震災以降、JRAはできるだけ公平な馬場を造るように意識しているフシがあり、内枠有利の馬場が減っている印象です。

内しか伸びない馬場は、馬券を買ううえではわかりやすくてありがたいのですか、迫力あるレースにはなりません。
ましてや、(賛否はともかくとして)競馬もグローバルスタンダードが叫ばれる昨今、欧州の芝は基本的に時計がかかりスタミナが問われるタフな馬場ですから、内ばかり伸びるきれいな馬場を造っていると、「日本の競馬場はガラパゴス馬場だ」との非難を受けかねません。

しかし、かくいう欧州競馬の最高峰・凱旋門賞ですら各陣営は内粋をほしがります。

つまり、どこまでいっても芝レースは本質的に内枠有利ということです。
2016年の凱旋門賞で勝利したファウンドは、インコースで馬群から一切出そうとせず、直線でも内を突いて伸びてきました。

このように「枠順」は単なる出目や数字遊びのようなオカルトではありません。
確実にレースを支配するひとつの大きな要素です。
ですから、枠の重要性を認め、予想に反映させるだけでも、かなり優位に立つことができるでしょう。

「こんな印のない馬買えない」と思えるような馬でも、前述した京都芝1200mのように、枠順の傾向さえ把握していれば押さえることができ、意外と簡単に大きな馬券を獲れるものなのです。


4.「枠の連動性」とは?逃げ馬は内枠を、差し馬は外枠を連れてくる!


枠順に関して、もうひとつ重要なのが「枠の連動性」です。
単純な有利・不利から一歩進んだ考え方になりますが、本当によくハマるのでぜひ覚えておいてください。
といっても、基本的には以下の2つを覚えるだけで大丈夫です。

・逃げ先行馬を買うときは内枠を一緒に買え

・差し追い込み馬を買うときは外枠を一緒に買え

これまで枠順の重要性について説明してきましたが、もちろん枠順は数ある競馬の要素のひとつにすぎません。
レースはさまざまな要素が複合的に絡み合う“生き物”です。
逃げ馬がどんなペースで走るか、有力馬がどこで動くかによって、ゴール前の景色はガラリと一変します。

つまり、枠順だけが独立して勝敗に影響を与えるわけではなく、他の要素と互いに影響しあってレースが進んでいくので、レース展開や馬場の状況と枠順を連動させて考えることが大切になるのです。

具体的に考察してみましょう。
まずレース展開についてですが、スローペースなら序盤にスタミナを温存できる逃げ先行馬が有利です。
そして、逃げ先行馬は基本的に経済コースを通りますから、内枠の馬はその後ろをマークするかたちになります。
よって、逃げ先行馬がそのまま勝つ場合は、内枠の馬も一緒にくる可能性が高いのです。

一方、ハイペースになると基本的に逃げ先行馬はスタミナを消耗し、差し追い込み馬が有利になります。
差し追い込みを決めるためには、自分のリズムで消耗せずに走れていることが重要ですから、渋滞に巻き込まれない外枠が有利になります。

馬場状態に関しても、インコースの馬場がよければ、そこを通る逃げ先行馬が有利になり、同じくインコースにポジション取りした内枠の馬を一緒に連れてくる。
逆に、インコースの馬場が悪く、アウトコースの馬場がよければ、自由に動ける差し追い込み馬が有利になり、同じく自由に動ける外枠の馬を一緒に連れてくる。

このように枠順、レース展開、馬場状態といった要素が互いに連動しているため、まったく同じコースで行われる重賞レースでも、その時々によって状況が一変します。

2016年の新潟大賞典と新潟記念は、それを象徴するようなレースとなりました。
ともに同じ新潟芝2000m外回りコースで行われましたが、新潟大賞典では馬場の内側の状態がよくペースも落ち着いていたため、先行馬&内枠の馬が粘り勝ち。
逆に、新潟記念ではペースが速くなったうえに馬場の内側が傷んでいたため、差し馬&外枠の馬の差し切り勝ちとなりました。

こうしたケースは決して極端な例ではなく、毎週のように繰り返されています。

2000万馬券が飛び出したことで話題になった2015年のヴィクトリアマイルも、レースをひもとけば「逃げ馬&内枠の決着」でした。
最低人気のミナレットが先手を主張すると、誰も追いかけず気分よく単騎逃げに持ち込みます。
直線に入っても差は縮まらず、結局、逃げたミナレットと2番手を追走したケイアイエレガントがそのまま粘り、3枠5番のストレイトガールがただ一頭差してきて勝利しました。

このレースを獲れたわけではありませんが、もしミナレットから買うことができたら、「逃げ馬&内枠」の連動性によって、同じ逃げ馬のケイアイエレガントや内枠の有力馬であるストレイトガールを買うことができたと思います。
タラレバの話にはなりますが、競馬予想において今後につながるタラレバはとても重要です。

逆に差し馬や外枠の馬をよく連れてきたのが、ゴールドシップでした。
個性派として人気も非常に高かったゴールドシップですが、レースぶりも破天荒そのものでした。
普通の馬では絶対に仕掛けないような、まだゴールまで1000mも残した地点で猛然とスパートをかけ、マイペースを守っていた先行馬たちを一気につぶすのが必勝パターンでした。
逃げ先行馬は、基本的にゆったりとしたペースで走り、最後の直線にスタミナを温存できるかどうかがカギになりますから、途中で一気に交わされると途端にリズムを崩してしまうのです。
その結果どうなるかというと、ゴールドシップがスパートしてマクリが決まるレースでは、2~3着に逃げ馬が残ることはほとんどなく、差し馬や外枠の馬が一緒にきたのです。

ゴールドシップの全盛期といわれる3歳時、派手なロングスパートを決めた菊花賞では、2着に16番のスカイディグニティ、3着に15番のユウキソルジャーが差してきました。
菊花賞は、本来は内枠が有利といわれていますが、その傾向をもぶっ壊してしまったわけです。

2016年の競馬でも、枠順の傾向だけで決まるようなレースがいくつかありました。
天皇賞(春)では1枠1番から逃げたキタサンブラックがそのまま逃げ切り、2着に2枠3番に入った単勝13番人気のカレンミロティック、3着に4枠8番のシュヴァルグラン。
8枠17番に入った1番人気のゴールドアクターは12着と惨敗し、3連単は24万馬券。

一方、桜花賞は、開催後半になると外枠や差し馬が有利になる阪神芝1600mの外回り戦でした。
結果も外枠決着で、7枠13番から追い込んだジュエラーが鮮やかに差し切り1着。
2着には6枠12番のシンハライト、3着に5枠10番のアットザシーサイドが入線し、1.5倍の断然人気を背負ったメジャーエンブレムは、外から続々と押し寄せた差し馬に呑み込まれてスムーズなレースができずに4着。
以降、5~7着にも2ケタ馬番の馬たちが並ぶ、完全な外枠有利のレースになりました。

このように「逃げ先行馬と内枠」、あるいは「差し追い込み馬と外枠」はセットにして考えるのが、現代競馬の予想のポイントなのです。

余談ですが、ともに枠順の不利を受けて敗れたゴールドアクターとメジャーエンブレムは、次走でアッサリ巻き返して勝利。
枠順と展開が、いかにレース結果を左右するかという典型的な例だったといえるでしょう。


5.ダートは外枠の方が有利?


なお、芝のレースは総じて内枠有利になりやすい反面、ダートのレースは外枠有利だといわれています。
理由は単純で、ダートの場合は馬の後ろにいるといわゆる「キックバック」の影響があり砂を被りやすく、砂を被らずに走れる外寄りの枠が有利になるという構造です。

「迷ったら芝は内、ダートは外」

こう覚えておくと、取捨選択に悩んだときに失敗が少なくなるはずです。

そして、このキックバックの有無を考慮すると、芝に比べてダートが、圧倒的に逃げ先行馬有利であることがわかると思います。
近年の代表的なダート馬であるホッコータルマエやコパノリッキーは、いずれも逃げ先行馬。
ノンコノユメという追込み馬もいますが、ダートで差し追込み馬が活躍するのはレアケースです。

また、ダートレースは芝よりもパワーを要求されるため、大型馬が多いのもポイントです。
大型馬は一瞬で加速することが難しいため、馬群の中をこじ開けるような競馬が苦手で、渋滞に巻き込まれない外枠と相性がいいのです。
ダートGⅠのフェブラリーSが行われる東京ダート1600mは、外枠有利のコースとして知られますが、2016年の同レースでは大型馬のモーニンが外枠に入り、終始、砂を被らずスムーズに走って勝利しました。

大まかにまとめると、外枠からでもテンのスピードを生かして先行できる大型馬が有利で、ダートレースではこうした馬に注目しておくべきでしょう。


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